環境化学
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種々の条件下における水道水中の全有機塩素及びトリハロメタン量について (第1報)
―煮沸の効果と全国各地のTOX・THMs量―
田中 一浩守田 康彦鹿田 雄喜高橋 敬雄
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1993 年 3 巻 1 号 p. 85-89

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抄録

煮沸に伴う水道水中のTOX・THMs及び変異原性の挙動を調べた。また全国9都市のTOX・THMs量を調べ, 煮沸の効果を調べた。煮沸により, 加熱前のTOXの66%, THMsの殆ど, 変異原強度の約90%が減少した。しかし煮沸を続けても, それ以上TOXは減らなかった。このことは変異原の大半は煮沸によって揮発または消滅する成分中に存在するものと考えられた。
我国9都市の水道水中のTOXの最大・最小・平均は, それぞれ131μg/l, 5μg/l, 79μg/lだった。
TOXとTHMsの相関係数は0.965と高く, TOXに占める塩素換算したTHMsの割合は平均30%だった。煮沸前後のTOXの相関係数も0.959と高く, 煮沸により煮沸前のTOXの約60%が除去された。
以上のことから, 水道水においてTOX・変異原強度を測る重要性が示された。

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