高分子論文集
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アルミニウム錯体-シラノール・複合触媒
エポキシ樹脂と活性水素化合物の付加反応への応用
鈴木 脩一早瀬 修二
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1994 年 51 巻 5 号 p. 315-321

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抄録

アルミニウム錯体とシラノール化合物によって形成される複合触媒は, エポキシ樹脂とビスフェノールや芳香族アミンなどの活性水素を有する化合物との付加反応に対して有効であることがわかった. 複合触媒の一成分のみでは促進効果は認められなかった. 加水分解によりシラノールを生成するアルコキシシランを使用すると, シラノール化合物に較べて反応開始が遅くなることが確認された. トリグリシジルアミノフェノールとジアミノジフェニルスルフォン (DDS) の反応では, 触媒成分のトリスアセチルアセトナトアルミニウム (Al (acac) 3) とトリフェニルシラノール (Ph3SiOH) が0.1wt%の添加でも促進効果が認められた. ビスフェノールF型エポキシ樹脂-テトラグリシジルエチレンジアニリンとDDSの反応をAl (acac) 3/Ph3SiOH存在下で行うと, 付加反応による発熱ピーク (DSC) が無触媒に比べて約30℃低温側にシフトすることがわかった. また加熱硬化樹脂の機械的, 電気的特性も良好で, 電気機器や航空・宇宙用の高機能エポキシ樹脂マトリックス材料として, 広く応用できるものと期待される.

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