人間工学
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カメラに対する操作と撮影による写真のブレとの関係に関する考察
加藤 麻樹石田 敏郎
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キーワード: 振動波形, 写真撮影, 操作
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1995 年 31 巻 6 号 p. 399-405

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抄録

一眼レフカメラの操作性において問題となる手ブレに関する研究として, その要因について検討した. 実験1ではシャッターボタンに圧力計を取りつけた3種類の一眼レフカメラを用いて, 通常撮影とタイマーを用いた撮影を行い, このとき生じた写真上のブレ量を計測した. 実験2では2種類の一眼レフカメラに, 3軸方向の加速度計と, シャッターボタン上に圧力計を取りつけ, 撮影に要する2秒間の振動波形を取得し, これをFFT解析した.
撮影時に生じるカメラの振動には, カメラの内部振動とユーザによる外部振動があるが, 外部振動について行った実験結果を要約すると以下のとおりである. すなわち, (1) 身体表面に生じている4~8Hzの microvibration, および手関節と肘関節における生理的振戦を主な要因とする振動が直接カメラに伝達される. (2) シャッターを押す操作を要因とする2.0Hz以下の振動がカメラに伝達される. (3) ユーザのシャッター操作は過剰になされることが多く, 個人差が大きい. 以上の点から, 写真撮影時に生じるカメラの振動は, 8.0Hz以下の低周波数帯域のものが主であり, ユーザのカメラに対する操作そのものによってもたらされることが明らかとなった.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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