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コンプトン散乱を利用した距離測定
白川 芳幸堀越 清美天野 豁
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1996 年 45 巻 10 号 p. 605-612

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抄録

γ線のコンプトン散乱を利用した距離測定方法を提案したい。本方法は2種類の場合を取り扱う。具体的には, 測定対象物の密度が一定の場合と密度が変化する場合を試験した。
線源と検出器を測定対象に対して同じ側に配置する。密度が変化しない場合には散乱γ線の数は距離によらない。ただし検出されるγ線の数は距離の関数となる。この関数は散乱領域の実効中心から検出器を見込んだ立体角に比例する。一方, 密度が変化する場合には, 散乱γ線の数は密度によって変わることになる。すなわち検出されるγ線の数は距離と密度の関数で表される。ここで2台の検出器を異なる位置に置くと, 検出されるγ線の数, 距離と密度の関係を示す2つの方程式が得られる。γ線の数が与えられれば距離と密度が計算できる。
計算機シミュレーションと実験によって本方法の性能を評価した。その結果によれば, 密度が一定の場合には10-100cmの測定範囲で±3%の精度が得られた。密度が1.707-1.885g/cm3の範囲で変化する場合には, 測定範囲8-10cmで±1mmの精度となった。

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