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OT-for-OH交換反応を用いた陰イオン交換樹脂の反応性
狩野 直樹二瓶 誠今泉 洋
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1996 年 45 巻 10 号 p. 613-618

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抄録

同位体交換反応におけるヒドロキシル基の挙動を, 平衡論的立場から明らかにするたあ, 陰イオン交換樹脂 (OH+OT-形) とトリチウム水との間のOT-for-OH交換反応を, 80℃で平衡下において観測した。用いられた陰イオン交換樹脂は, Amberlite IRA-400, IRA-410 (両者とも強塩基性型) , IRA-94S (弱塩基性型) の3種である。HTO分子は, H++OT-に (あるいはT++OH-に) 解離すると考えられる。OT-for-OH交換反応に基づいたそれぞれの樹脂の放射能は, 液体シンチレーションカウンタによって求められた。
上述したことから, 次の五つのことが明らかになった。 (1) 陰イオン交換樹脂中のOH基とトリチウム水中のOT基との間で, “原子団”としての同位体交換反応が起こる。 (2) 強塩基性の陰イオン交換樹脂の方が, 弱塩基性の陰イオン交換樹脂よりも反応性が大きい。 (3) 各陰イオン交換樹脂の反応性の比は, ほぼ次のように表すことができる。 (IRA-410) : (IRA-400) : (IRA-94S) =42: 7: 1。 (4) OT-for-OH交換反応の度合は, T-for-H交換反応の度合よりも, 小さいと考えられる。 (5) 本研究で用いた方法や結果は, トリチウム汚染防護に対する基礎データ, 特にトリチウムを含んだある種の原子団からのデータを得るために有用な手助けになると推測できる。

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© 社団法人 日本アイソトープ協会
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