1998 年 53 巻 3 号 p. 156-164
2次元系の乱流現象は, 3次元乱流に比べ独特の乱流特性を持ち, 非線形非平衡系に特有な物理現象を豊富に含んでいる. 特に近年の計算機の飛躍的な発達とソフトウェアの開発が, 高解像度の乱流の数値計算とその計算結果の視覚化を可能にしたことに伴って, 実空間における秩序構造(coherent structure)の存在が注目されるようになった. 本稿では2次元乱流系に見られる渦度場の構造形成に注目し, 形成過程における統計的性質(動的スケーリング則)を紹介する. また, 物性物理学の秩序形成の研究との接点の可能性について触れたい