ネットワークポリマー
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フェノール-グルタルアルデヒド樹脂の合成および硬化物物性
松本 明博古賀 優嗣木村 肇大塚 恵子長谷川 喜一平野 義明福田 明徳
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1998 年 19 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

フェノール樹脂を強靭化し, 耐水性および電気絶縁性をさらに向上させるための手段として, フェノール核間結合距離を長くし, フェノール性水酸基濃度を低下させる方法が考えられる。そこで本報では一般的なフェノール樹脂の合成に用いられているホルムアルデヒドに代えてグルタルアルデヒドを用いた。まず, 酸性条件下, フェノールとグルタルアルデヒドを種々の条件で反応させ, ノボラック型のフェノールーグルタルアルデヒド樹脂の合成を行い, その構造および諸物性を検討した。その結果, 酢酸溶媒を用いて塩酸触媒下反応させることにより, 容易にノボラック型のオリゴマーが得られた。次に, フェノールとホルムアルデヒドから合成した一般的なフェノールノボラックにノボラック型のフェノール-グルタルアルデヒド樹脂を種々の割合で配合した成形材料を調製し, その流動性および硬化挙動について検討した。その結果, 硬化速度はフェノール-グルタルアルデヒド樹脂の含量にあまり依存せず, その含量が60wt%以下の成形材料はトランスファ成形に適することがわかった。さらに, 得られた成形材料から硬化物を作製し, その諸物性を検討した。その結果, フェノール-グルタルアルデヒド樹脂の含量が60wt%以下の系ではその含量が増加するに従って, 硬化物の靭性, 電気絶縁性, および耐水性が向上することがわかった。

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© 合成樹脂工業協会
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