第四紀研究
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阿蘇4火山灰および阿蘇火砕流堆積物の古地磁気方位
中島 正志藤井 純子
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1998 年 37 巻 5 号 p. 371-383

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抄録

阿蘇火山は大型のカルデラをもつ複合火山で,約27万年前から約9万年前の間に,阿蘇カルデラを給源とする大規模な火砕流の噴出を含む噴火サイクルが4回(Aso-1,Aso-2,Aso-3,Aso-4)あったことが知られている.これらの火砕流の溶結凝灰岩を大分県と熊本県で採取し,古地磁気測定を行った.さらにAso-4については,中部・関東・東北地方の8地点で採取した降下火山灰,および宮崎県の5地点で採取した非溶結の火砕流堆積物についても測定を行った.
溶結凝灰岩の測定からは,それぞれの噴火サイクルで特徴的な古地磁気方位が得られた.Aso-1とAso-4はほぼ北向きの通常の正帯磁の方位を示し,Aso-2は異常に深い伏角(約70°),Aso-3は大きく東偏する偏角(約35°)を示すことがわかった.
Aso-4では,サブユニットの4Aと4Bで古地磁気方位に差がみられ,4Bの伏角は4Aより約5°浅くなった.広域型降下火山灰および宮崎の火砕流堆積物は,4Aの方位とほぼ同じであった.

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