1999 年 68 巻 2 号 p. 161-165
半導体での挙動が注目されている水素関連欠陥のミクロな構造と水素の運動に関する知晃を得るために,一軸性圧縮応力下でのDLTS測定を試みた.モデルケースとして,シリコン中の水素-炭索複合欠陥を研究した.応力により分裂したDLTSピークの強度比と,ボンド方向の圧縮応力による複合欠陥のエネルギー増加から,水素がC-Si間の結合中心位置に存在すると結論した.さらに,複合欠陥の応力配向過程や応力除去後の緩和過程から,炭素近傍での水素の局所運動を観測し,この運動に水素の荷電状態が大きく影響することを明らかにした.