日本食品科学工学会誌
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熱分析法による米菓製造工程解析
渡辺 紀之城 斗志夫早川 利郎
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1999 年 46 巻 2 号 p. 51-58

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抄録

米菓製造工程産物及び米菓製造模擬工程産物の熱分析(示差走査熱量測定)を行い,米菓製造工程とその工程中に生じている糊化・老化澱粉ゲルの挙動を次のステップで解析した.
(1) 実際の糯米菓製造工程産物のDSC測定を行った.
(2) 糯米粉を使用した糯米菓製造模擬工程産物のDSC測定を行った.
(3) 糯米澱粉を使用した糯米菓製造模擬工程産物のDSC測定を行った.
その結果,米菓製造工程における蒸し工程は,澱粉の糊化現象による水素結合の崩壊のプロセスである.冷蔵工程は,老化現象による再配列構造の生成すなわち新たな水素結合の生成のプロセスである.乾燥工程はアニーリングによる,さらに高温側に安定な再配列構造の生成のプロセスである.焙焼工程は再配列構造の崩壊のプロセスである.さらに各々の工程はお互いに関係しており,糯米菓の最終製品に影響することが推測される.従って,熱分析法を用いて,米菓製造工程とその工程中に生じている糊化・老化澱粉ゲルの挙動を解析することが可能であると結論できる.

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