雑草研究
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L-3,4-Dihydroxyphenyla-anine (L-DOPA) によるキュウリ幼植物の生育阻害作用の特性
中嶋 直子平舘 俊太郎藤井 義晴
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1999 年 44 巻 2 号 p. 132-138

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抄録

L-3,4-Dihydroxyphenylalanine (L-DOPA) を添加した寒天培地にキュウリを播種したところ, 播種直後にキュウリ幼植物の生育が強く阻害されたが, 播種後12日目には, L-DOPAによって阻害されていた生育の回復がみられた。このときL-DOPA処理区のみで培地の黒化が観察されたことから, 培地中のL-DOPAが重合反応により経時的に化学構造が変化していることが推察された。また, L-DOPA処理区のキュウリ根部においては, L-DOPAの蓄積がみられ, 遊離アミノ酸含量が無処理区に比べ増大し, 特にL-DOPAと類似の化学構造をもつチロシン, フェニルアラニンが著しく増大した。これらのアミノ酸の増大は, L-DOPAが植物体内でアミノ酸へ代謝されたことに起因する可能性があると推測した。このように植物生育阻害作用をもつL-DOPAは植物体内で無毒なアミノ酸に代謝・解毒され, これによって生育阻害作用の回復がみられると推定した。

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