地質学雑誌
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中央北海道, 浜益地域の新生代火山岩類のK-Ar年代と地球化学 : 島弧会合部テクトニクスに起因するマグマ組成の時間変化
岡村 聡関根 治彦新井 計雄山元 正継西戸 裕嗣八幡 正弘
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2000 年 106 巻 5 号 p. 330-346

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抄録

中央北海道西縁部の浜益地域周辺では, 前期中新世から鮮新世末期まで火山活動が生じた.前期中新世火山岩は高アルカリソレアイト玄武岩, 中期~後期中新世火山岩はカルクアルカリ・ソレアイト両系列の安山岩・デイサイト・流紋岩からなる.一方, 鮮新世火山岩はカルクアルカリ系列の安山岩・デイサイトとアルカリ玄武岩からなる.前期~後期中新世(19-7 Ma)火山岩は高Sr同位体比, 低Nd同位体比, 低Zr/Nb比, 後期中新世~鮮新世(7-2 Ma)火山岩は, 低Sr同位体比, 高Nd同位体比, 高Zr/Nb比を示す.このことは, 火山岩の起源物質が後期中新世を境にそれ以前はエンリッチなリソスフェア, それ以降は枯渇したアセノスフェアマントル由来であり, この化学組成の変化がアセノスフェアから上昇するマントルプリュームによってもたらされたと考えられる.これらの火山活動は, 千島弧と東北日本弧との会合部における特異な現象であり, 千島海盆の形成をともなうユーラシアプレートとオホーツクプレートの衝突が深く関与していたと推察される.

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