第四紀研究
Online ISSN : 1881-8129
Print ISSN : 0418-2642
ISSN-L : 0418-2642
地質・地形条件に基づく液状化ポテンシャル
陶野 郁雄
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 39 巻 4 号 p. 363-374

詳細
抄録

地震時の液状化現象を推定する方法として,液状化簡易判定法がすでにいくつか提案されている.これらの簡易判定法は,いずれも標準貫入試験によるN値に基づく地盤の液状化強度の推定が根拠となっている.このような液状化判定法は,常にボーリング調査結果が必要となる.特に,県や市町村単位の広域な液状化危険度を推定するには,全面的に多量のボーリング調査を実施することが必要となる.
そこで,筆者らは標準貫入試験結果を必要としない砂層の地形・地質条件に基づいた液状化簡易判定法を1986年に提案した.この方法は,地盤の地質年代と堆積環境および地下水位が必要となる.この手法を用いて,1983年日本海中部地震で液状化災害が顕著に発生した能代市市街地を対象として推定加速度図などを作成した.これによると,噴砂が数多く認められた地域は,推定加速度200gal以下の完新統新期河成砂層や,推定加速度250gal以下の完新統新期砂丘砂層と砂丘間低地が分布しているところである.しかも,液状化安全率が1以上(F1>1)の液状化しないと推定されたところには,噴砂地点が1つもない.このように,提案した手法に基づく液状化予測は,1983年日本海中部地震の際の能代市における調査結果と非常によく一致しており,手法の有効性を示している.

著者関連情報
© 日本第四紀学会
前の記事 次の記事
feedback
Top