農産物の呼吸特性を得るために, デシケータを用いて低酸素濃度下で温度条件を5, 10, 25℃に設定し, 貯蔵実験を行った。実験試料として典型的な追熟現象を示す未熟と完熟のトマトを用いた。閉鎖系で低酸素貯蔵を行ったトマトは限界呼吸速度に達すると擬似休眠状態に入り, 追熟現象が抑制されたことが確認された。また, 温度5℃で貯蔵したトマトは低温により生理障害を受け, 腐敗が生じたことも確認された。デシケータ貯蔵実験で得られた限界呼吸速度から最適な酸素透過量をもつフィルムを設計し, フィルム貯蔵試験を行った。その結果, フィルムで貯蔵したトマトの表面色変化が抑えられ, デシケータ内低酸素貯蔵実験と同様の傾向を示し, デシケータ貯蔵実験で得られた結果がフィルム貯蔵に応用できる事が確認できた。