日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
歯周疾患の実態調査と予防対策に関する疫学的研究
若年者における歯周疾患とその意識との関連性について
中島 啓次栗原 千里川永 利隆栗橋 豊大沢 一茂小野寺 修下山 雅通渡辺 幸男池田 克已
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 31 巻 4 号 p. 1220-1241

詳細
抄録

川越市下の若年者3, 886名を対象に, 口腔清掃の習慣や歯周疾患に関する自覚症状等についての問診表による意識調査と, プラークの付着, 歯石の沈着, 歯肉の炎症, う蝕, 歯列不正およびプロービングデプスについての口腔内診査を行い, 両者の関連性について検討した。
1.意識調査の結果, 歯磨きの回数については, 83.1%の者が毎日複数回歯を磨く等, 口腔清掃の習慣は向上してきている。
2.歯周疾患に関連する自覚症状については, 歯磨き時の出血と答えた者が18 .4%で最も高い割合を示した。
3.歯周疾患の進行と年齢の関連性については, 13歳で最高値を示した。また, 歯周疾患が進行するにしたがい,男子の占める割合が高くなった (X2-test: α<0.01) 。
4.口腔内診査の結果, 歯磨きの回数の減少と歯周疾患の進行の間には有意な関連性が認められた (X2-test: α< 0.001) 。
5.歯磨き時の出血と歯肉の腫脹の自覚症状と歯周疾患の進行との間に強い関連性が認められた (X2-test: α< 0.001) 。
6.プラークの付着, 歯石の沈着, う蝕および歯列不正の状態の悪化と歯周疾患の進行との間に関連性が認められた (X2-test: α<0.001) 。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top