1990 年 19 巻 3 号 p. 1243-1246
温度により膨潤性を著しく変化させるイソプロピルアクリルアミドとメタクリル酸エステルのコポリマーを用い、薬物放出の量的制御およびON-OFF制御を試みた。ポリマー膜を合成した後インドメタシンをloadingして放出デバイスを作製し、リン酸緩衝溶液中で薬物放出パターンを調べた。一定温度下では、ポリマーの膨潤度が大きくなるほど0次放出に近づいた。これは疎水性薬物の場合薬物消失領域の透過性が増加するためであり、モデルによるシュミレーション結果と一致した。また温度を20℃と30℃の間で段階的に変化させて放出実験を行った結果、表面収縮層の生成により薬物放出の完全なON-OFFが得られた。このパルス型放出パターンは、OFF状態が長いほど0次放出が長く保たれ、OFF状態の間に薬物がポリマー内で再分布することが示唆された。感温性ポリマーゲルの膨潤-収縮特性を変化させることで温度変化に伴う薬物放出のON-OFFおよび放出速度の制御が可能である。