人工臓器
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ハイフラックス透析膜の膜構造に関する検討
佐々木 敬一辰口 俊秀大村 朋幸酒井 清孝
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1990 年 19 巻 2 号 p. 649-652

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抄録

近年、β2-microglobulinの除去を目的として、新しい透析膜(HP透析膜)が開発されている。目的とする溶質の除去には、どのような膜構造が適しているかを検討することにより、優れた透析膜の開発がより効率的に行われる。そこで膜構造の最も基本的な因子である細孔直径を各種測定法を用いて検討した。TPM法(細孔理論)、DSC法により測定された細孔直径と、BET法により測定された細孔直径分布との比較を行ったところ、BET法の細孔直径は他の方法に比べ小さくなった。これは主に試料乾燥時における細孔構造に起因するものと思われる。また、HP透析膜と通常の透析膜との比較を行ったところ、HP透析膜は代表細孔直径が大きく、細孔容積も大きい。さらに大孔径部に多くの細孔が存在する特徴を持っている。再生セルロース膜と合成高分子膜では、細孔直径分布曲線の形状において大孔径部で差異が認められた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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