人工臓器
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精密濾過特性におよぼす粒子の変形能の影響
阿波加 徹磯野 薫小笠原 啓一酒井 清孝
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1990 年 19 巻 2 号 p. 970-973

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抄録

回転円筒膜型血漿分離装置を用い、変形能の異なる粒子を用いて精密濾過のメカニズムを検討した。赤血球およびグルタールアルデヒド(GA)で固定処理した赤血球の5vol%のサスペンションを用いて定圧濾過実験を行い、濾過流束や濾過抵抗が変形粒子と剛体粒子とでどのように異なるかを調べ、粒子の変形能を利用して濾過機構を検討した。濾過流束は入ロ圧力に対してピークを持った。最大濾過流束は、赤血球サスペンションの方がGA固定赤血球サスペンションよりも大きくなった。そのため、流体中では変形能のある粒子の方が変形能の無い粒子よりも大きな揚力を受けることがわかる。TMP=49mmHgにおける分極層抵抗の値は、回転速度の増加とともに減少した。低回転領域ではGA固定赤血球の方が大きく、高回転領域ではほとんど差がみられなかった。低回転領域では粒子の変形能の違いによって、分極層の形成に差が現れるためと考える。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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