人工臓器
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ダイアライザー膜への低分子タンパク質吸着能の測定
竹沢 真吾日台 英雄酒井 清孝
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1990 年 19 巻 2 号 p. 666-669

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抄録

透析で除去すべき物質として低分子タンパク質が挙げられる。低分子タンパク質は分子量が膜の除去限界に近いため, 拡散による除去は困難である。効率よく除去するためには, 濾過, 吸着現象を利用しなければならない. 濾過による除去具合はふるい係数が目安となるが, 吸着による除去具合を知る簡便な目安はない。また, 吸着現象は膜材質のほかタンパク質そのものの物性による影響も受ける。そこで, 等電点の異なる低分子タンパク質を用い, 数種類の膜への吸着実験を行いその程度を調べた。使用した膜は吸着が起こらないとされる再生セルロース, 適度に吸着すると思われるPMMA, 吸着能の高いポリスルフォンである。再生セルロース, ポリスルフォンでは等電点の影響はみられないがPMMAでは同一分子量でも等電点により吸着量が異なる。また, 水溶液系での実験結果は血清を用いた実験結果と同一であり, 水溶液系での結果をもって臨床使用の目安とすることができる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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