日本胸部疾患学会雑誌
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肺小細胞癌における再発様式の検討とその対策
上岡 博大熨 泰亮沼田 健之河原 伸西井 研治米井 敏郎山下 英敏森高 智典木浦 勝行宇治 秀樹美馬 祐一小塚 彰亀井 治人小谷 剛士畝川 芳彦田端 雅弘柴山 卓夫前田 忠士木村 郁郎平木 俊吉
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1990 年 28 巻 12 号 p. 1581-1587

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抄録

多剤併用療法を受けた肺小細胞癌 (SCLC) 症例の再発様式を検討した. limited disease (LD), extensive disease (ED) とも初発再発部位は胸部, 脳の順に多く, 進展度による再発様式の差は認められなかった. 胸部照射を受けたLD症例の胸部への初発再発率, 2年間の累積発現確立はそれぞれ29%, 35.4%と化学療法のみを受けた症例の69%, 76.5%に比し有意に低率であり, 胸部照射により長期生存率の向上がもたらされた. 予防的脳照射 (PCI) は脳転移の発現を抑制し, PCIを受けた症例の生存期間中央値, 5年生存率はそれぞれ23.1ヵ月, 26.7%とPCIを受けなかった症例の14.0ヵ月, 8.3%に比し生存期間の有意の改善が得られた. Coxの比例ハザードモデルによる解析では, CRを得たSCLC症例の予後に最も大きな影響を及ぼすのはPCIであった. 強力な化学療法に胸部照射, PCIを併用することにより,SCLCの予後の改善が可能になると思われる.

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