日本歯周病学会会誌
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歯周炎病原菌由来の酵素活性を指標とした迅速診断法SK-013)
-歯周ボケツト掻爬術の効果判定への応用-
杉田 典子佐藤 悦子田井 秀明小林 哲夫吉江 弘正原 耕二大竹 徹高野 都喜子栗原 千佳子南崎 信樹宮下 元長谷川 紘司磯田 竜太朗河井 敬久佐保 輝之小郷 秀司三木 靖夫岡田 宏
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1991 年 33 巻 1 号 p. 164-171

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抄録

本研究の目的は, 歯周病原菌が特異的に産生するペプチダーゼ活性を迅速に測定できる検査薬SK-013 kitを用いて, 歯周ポケット掻爬術の効果判定を行い, その有用性を評価することである。歯周炎患者64名のうち33名を歯周治療群 (T群), 31名を未治療群 (NT群) に分け, 1名につき1歯を被検歯として選択した。T群にはブラッシングによるプラークコントロール (初診時開始) および歯周ポケット掻爬術 (プラークコントロール後4週目) を行いその効果を臨床診査並びにSK-013kitによる酵素活性検査にて評価した (6, 8, 12週目) 。NT群については, 特に歯周治療は行わず初診時および12週目に臨床診査並びに酵素活性検査を行った。
その結果, SK-013活性値は, プラークコントロールのみでは変化を示さなかったが, 歯周ポケット掻爬術後, GI, PD, AL, BOPと共に著しく減少した。NT群のSK-013活性は, いずれの検査時においても有意な変化は認められなかった。これらの結果よりSK-013kitによる酵素活性測定法は, 歯周治療効果をモニタリングするのに非常に高い有用性があることが示された。

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