人工臓器
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透析器の至適設計
福田 誠細矢 範行金森 敏幸酒井 清孝錦戸 條二渡邉 哲夫伏見 文良
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1991 年 20 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

Highly permeable membrane(HP膜)は薄膜で大きな細孔を持つため、従来の透折膜に比べより大きな溶質透過性を示す。HP膜を用いたHP透析器では通常の透析器に比べて、総透過抵抗に占める血液側および透析液側境膜物質移動抵抗の割合が大きい。したがって、境膜物質移動抵抗を減少させることによって透析器の性能をさらに向上させることができる。そこで、中空糸内径および糸束率の異なる透析器を試作し、これらのパラメータと溶質除去能との関係から、透析器の至適形状について検討した。糸束率の増加に伴い透析液側境膜物質移動係数が増加し、それにより総括物質移動係数およびクリアランスも増加した。この傾向は通常の透析器よりも膜の溶質透過抵抗が小さいHP透析器において、より顕著に現れた。また、従来解析に用いられてきたKellerによる無次元相関式より推算した透析液側境膜物質移動係数とその実測値は一致せず、新たに理論式を考察する必要があることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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