人工臓器
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光ファイバを用いた溶質透過係数測定法
内藤 明大村 朋幸金森 敏幸酒井 清孝
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1991 年 20 巻 1 号 p. 76-81

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抄録

溶質透過係数測定法の確立は中空糸透析膜の溶質透過機構を解明する上で不可欠である。我々は溶液の光学的特性を利用することにより、単成分系水溶液中の溶質透過係数測定が可能であることを明らかにした。ところが、不透明懸濁液である血液や半透明溶液である血漿中の溶質濃度の測定には多くの問題点が存在した。そこで、今回、牛血清、牛血漿および牛血液中の溶質透過係数を光ファイバを用いて測定する方法を考案した。尿素、クレアチニン、ビタミンB12等の小中分子は中空糸透析膜を透過するが、蛋白質や赤血球などの光学的測定を阻害する分子、粒子は透過できない。この現象を利用し、中空糸透析膜外側に牛血液、牛血漿などの試験溶液を配し、中空糸膜内側に透過した溶質の濃度を光ファイバを用いて測定した。この時の溶質濃度変化より溶質透過係数を算出した。
牛血液および牛血漿中で測定したビタミンB12の溶質透過係数は蛋白質や赤血球に影響されず一定であり、水溶液中のそれとほぼ等しかった。溶質透過係数は溶質半径や膜特性に支配されるため、共存する粒子、溶質に影響されなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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