人工臓器
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血漿分離における多孔質ガラス膜の利用
小笠原 啓一酒井 清孝
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1991 年 20 巻 2 号 p. 298-303

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抄録

Na2O-B2O3-SiO2-Al2O3-CaO系の多孔質ガラス膜は耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性に優れている。また細孔直径分布が狭く、薬品洗浄などにより再生が可能という利点を持つ。合成高分子膜における血漿分離では膜間圧力差約50mmHgで溶血を起こすが、多孔質ガラス膜を用いると約100mmHgでも溶血を起こさない。多孔質ガラス膜における血漿濾過流束と総タンパク質のふるい係数は平均孔直径が1~1.5μm、膜間圧力差25mmHg、壁ずり速度2000s-1の条件において最も適切となる。血漿濾過流束は壁ずり速度が変化しても管長の(-/3)乗に比例した。濾過流束のヘマトクリツト依存性は限外濾過理論では説明できない。低温における血漿分離は、膜間圧力差25~50mmHg、壁ずり速度2000s-1の条件で実施可能である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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