人工臓器
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外部灌流膜型肺の開発と今後の展開
辰口 俊秀桑名 克之中西 光酒井 清孝
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1991 年 20 巻 2 号 p. 385-390

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抄録

膜型人工肺における酸素透過抵抗の大部分は血液側に存在する。外部灌流膜型肺は血液の流れが乱れているため、血液側の境膜が有効に破壊される。中空糸を斜めに編み込むことで、この血流の乱れを促進することが可能である。流動状態がガス交換能に及ぼす影響を検討するために、中空糸の編み込み本数を変化させた。編み込み本数を1本にしたとき、最も高い総括物質移動係数が得られた。X線CTおよびパルスリスポンス法を用いて流動状態を観察したところ、編み込み本数1本で均一な流動状態が観察された。また、編み込み本数1本は中空糸同志の接触面積が少ないため、有効膜面積が増加している。これよりガス交換能の向上は流動状態の均一化と、有効膜面積の増加に起因するものと考えられる。しかしモジュール単位でのガス交換能は編み込み本数2本が最も優れており、良野な流動状態を損なわずに高膜面積が得られる充填方法の開発が望まれる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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