人工臓器
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サーミスタの時定数を考慮した新もい心拍出量測定法
阪上 正裕酒井 清孝
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1991 年 20 巻 2 号 p. 521-525

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抄録

Swan-Ganz熱希釈カテーテルにおけるサーミスタの時定数のばらつきに影響されない新しい心拍出量算出法を考案した。心臓を模した自作伝熱撹拌槽を用いて牛血液の流量を測定し、時定数が流量の測定値に及ぼす影響について検討した。サーミスタの時定数はカテーテルにより大きくばらつき、従来の流量算出法では測定流量に大きな誤差が生じた。低流量で最大32%、高流量でも大きい時定数で最大9%の誤差が得られ、実測流量と一致しなかった。一方、ニュートンの冷却の法則に基づく新しい流量算出法による測定流量は実測流量と有意に一致し(p<0.01, NS)、時定数のばらつきに影響されなかった。さらに、新しい流量算出法は指示薬の注入条件に影響されず、モニタへの補正係数の代入が不要となる。新しい流量算出法により、各力テーテルの時定数のばらつきと指示薬の注入条件に影響されない心拍出量測定が可能となる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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