人工臓器
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スクリーンフィルタによる赤血球損傷の検討
阿波 加徹小笠原 啓一金森 敏幸酒井 清孝
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1991 年 20 巻 3 号 p. 1305-1308

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抄録

体外循環に用いられている動脈フィルタが赤血球の損傷に及ぼす影響について検討した。開心術における体外循環操作に基づいて実験条件を定め、モデル装置を作製してスクリーンフィルタの影響を調べた。
血漿中のヘモゲロビン濃度から求めた溶血量は処理時間とともに上昇した。しかし、ヘマトクリット、流量・操作圧力等を変化させても、溶血量に対するフィルタの影響は確認されなかった。そこで、赤血球浸透圧脆弱性試験により赤血球の損傷程度を検討した。その結果、赤血球の損傷の影響はNaCI濃度0.69/dl付近の浸透圧脆弱性で最もよく現れた。浸透圧脆弱性が小さい血液ではフィルタによる溶血はほとんど起こらないが、浸透圧脆弱性が大きい血液ではフィルタによる溶血がみられた。
浸透圧脆弱性が小さい通常の血液においては、スクリーンフィルタによる溶血はほとんど問題とならなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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