日本胸部疾患学会雑誌
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肺癌症例におけるSLXを中心とした各種血清腫瘍マーカーの意義
上岡 博大熨 泰亮森高 智典木浦 勝行美馬 祐一堀口 隆畝川 芳彦田端 雅弘柴山 卓夫前田 忠士瀧川 奈義夫木村 郁郎西井 研治守谷 欣明米井 敏郎
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キーワード: 肺癌, 腫瘍マーカー, SLX
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1991 年 29 巻 8 号 p. 1022-1028

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抄録

肺癌266例, 良性呼吸器疾患345例を対象に, 血清SLX, CEA, SCC, NSE値の意義を比較検討した. 血清CEAの肺癌における陽性率 (44.4%), 良性呼吸器疾患における疑陽性率 (15.3%) はいずれも4種類のマーカーの中で最も高率であった.. 血清SLXの陽性率は32.0%とCEAに比し低率であったが, 病期との相関は良好であり, 疑陽性率も7.2%と低率であった. 血清SCCとNSEはそれぞれ扁平上皮癌, 小細胞癌において特異的に上昇していた. 4種類のマーカーを用いた判別分析では, 肺癌と良性呼吸器疾患との正判別率は70%にすぎなかった. 治療効果との関係では, 腺癌ではSLX, 小細胞癌ではNSEとSLXが治療効果と有意の相関を示した. 血清腫瘍マーカーは, 肺癌の診断では, 胸部X線, 喀痰細胞診に比し sensitivity が劣り, さらに特異的なマーカーの探索が必要と思われたが, 治療効果のモニターには, 腺癌ではSLX, 小細胞癌ではNSE, SLXが適していると考えられた.

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