日本胸部疾患学会雑誌
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肺小細胞癌におけるCEA, NSE, P糖蛋白の免疫組織学的検討薬剤耐性との関連を中心に
大熨 泰亮上岡 博畝川 芳彦木浦 勝行田端 雅弘柴山 卓夫前田 忠士宮武 和代瀧川 奈義夫木村 郁郎
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1992 年 30 巻 2 号 p. 262-269

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抄録

肺小細胞癌治療における薬剤耐性の発現は化学療法効果を制約する最大の因子である. その発現機序は多岐にわたるが, 腫瘍細胞の不均一性に起因する clonal selection, MDR-1遺伝子の増幅, 薬剤解毒機構の亢進などが注目されている. 著者らは, 治療前後の腫瘍組織が入手可能であった22例を対象に, clonal marker として carcinoembryonic antigen と neuron-specific enolase を, MDR-1についてはその遺伝子産物である P-glycoprotein を免疫染色法を用いて組織学的検索を加え, 治療前後の変化を比較した. その結果, 治療前CEA陰性から治療後にはCEA陽性に転ずる症例が認められ, このような症例は治療に抵抗したところから, 臨床における薬剤耐性の発現に clonal selection の関与が窺われた. また, P-glycoprotein を発現するものは治療後に増加したが, 薬剤耐性との関連性は臨床的には明らかではなかった.

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