人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
人工赤血球(リピドヘム)によるin vivo血流中での酸素運搬
小松 晃之松渕 永里子西出 宏之土田 英俊渡辺 真純小林 紘一石原 恒夫
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 1 号 p. 299-303

詳細
抄録

生理条件下で酸素を可逆的に吸脱着することのできる全合成系の人工赤血球(リン脂質二分子膜包埋リピドヘム、スキーム1)1,2)のin vivo血流中での酸素運搬能を評価した。出血性ショック状態の犬(体重8kg前後)6匹に、この人工赤血球溶液を静脈内投与した。30ml/kg投与により、混合静脈血の酸素分圧は30mmHgからコントロール値50mmHgに回復し、リピドヘムからの酸素消費量は約15ml/min(全酸素消費量の1/5)であった。血流中でのリピドヘムの滞留時間(半減期)は11時間であった。またメト化率は6%(投与11時間後)と低かった。本物質が生体内で酸素運搬体として機能し得ることが定量的に明らかにされた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top