1992 年 21 巻 2 号 p. 635-638
実験的に圧及び回路内液の性状の違いがSJM弁閉鎖音周波数特性に与える影響をFFT法を用いて検討した。回路内に水を充填した場合0.8及び2.5KHzにピークを有した。グリセリンでは0.7及び2.1KHzにピークを有したが、2.1KHzのピークと3.0KHz以上の高周波数域で水の場合より減衰した。グリセリンを充填し閉鎖圧を50から150mmHgまで変化させたが、周波数特性に変化を認めなかった。フィブリン糊をSJM弁輪に付着させると、水、グリセリンともに0.7から2.5KHzの間のピークは各々減衰し平坦化する傾向を示した。以上よりSJM弁閉鎖音周波数特性は閉鎖圧の影響は受けないが、回路内液の影響を受けると考えられた。フィブリン糊の付着により、水及びグリセリンで同様の変化を示し、これは血栓付着による一般的な変化と考えられた。臨床においては、シミュレーターと臨床の共通性と差を念頭におき検討すべきと考えられた。