透析器の至適設計のためには、透折器内部における流動と物質移動の関係を把握することが重要である。しかし、透析器内の流動は複雑であり、特に透析液側の物質移動現象の解析は困難である。
本研究では、最も理想系に近い中空糸膜一本の単位において、透析液側物質移動現象の基礎的検討をおこなった。測定には吸光法を用い、Stevensonの解析方法を利用して、吸光法による透析液側物質移動係数の新しい算出法を考案した。
ConventionalタイプのAM-SD-10MおよびHigh FluxタイプのAM-FP-15の二種類の透析膜について検討した結果、透析液側境膜における物質移動は膜構造には依存せず、流動のみに依存した。また、透析液側物質移動現象は円管内層流におけるLevequeの式で説明できることが確認された。