人工臓器
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電気化学発光を利用した高感度型ゲルコースセンサの開発
吉見 靖男金森 敏幸酒井 清孝
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1992 年 21 巻 3 号 p. 1109-1114

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抄録

糖尿病患者の血糖値を非侵襲的に監視できる、高感度で安定性の高い人工膵臓用センサの開発を本研究の目的としている。高感度なグルコース定量法である化学発光法では、試薬溶液を完全混合で反応させることができず、安定性の高い測定は困難であった。そこで我々は、化学発光の反応過程を電気化学的に操作する装置を開発し、試薬溶液を完全混合状態で反応させることを可能とした。さらにこの装置を高感度型のヴルコースセンサに利用し、安定性および感度を確認した。連続供給される一定濃度のゲルコース濃度に対して応答する発光強度の変動は8時間で5%以内であった。この安定性から本センサは人工膵臓への利用が期待できることが分かった。一方、本ゲルコースセンサの濃度測定可能範囲は0.1~1.0mg/dlであり、汗のゲルコース濃度範囲を包括している。本センサでの汗のゲルコース濃度測定による非侵襲的な血糖値監視の実現が有望である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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