日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
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表在性膀胱癌に対する抗癌剤再発予防注入療法
Randomized Trial による共同研究の長期 Follow-up 成績
津島 知靖那須 保友明比 直樹野田 雅俊雑賀 隆史大森 弘之小橋 賢二尾崎 雄治郎松村 陽右棚橋 豊子難波 克一白神 健志高本 均荒木 徹武田 克治朝日 俊彦赤枝 輝明
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1992 年 83 巻 8 号 p. 1314-1321

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抄録

表在性膀胱癌に対する再発予防膀胱腔内注入療法の有用性を randomized prospective study にて検討した. 登録症例は以下の3群に振り分けられた. 1) adriamycin (ADM) 群: ADM 50mg/生食100ml, 2) mitomycin C (MMC)群: MMC 30mg/生食100ml, 3) control群: TURのみで経過観察.
本注入療法の特徴は, 術後2週以内に6回の頻回の注入を行い, 引き続き月1回, 2日連続の注入を行うもので, 2年間の長期注入とした. さらに, 注入量が100mlと大量であり, 比較的低濃度の薬剤 (ADM: 500μg/ml, MMC: 300μg/ml) を用いた.
本研究には144例が登録されたが, 34例が不完全例であり, 再発予防効果の検討は110例でなされた. 多発例における5年非再発率はMMC群32%, ADM群25%, control群7%でありMMC群, ADM群は control 群に比して有意に非再発率が高かった.
以上よAり, 今回検討したADMとMMCの注入療法は表在性膀胱癌の再発抑制に有用であると考えられた.

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