人工臓器
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連続的再循環腹膜透析(CRPD)用ダイアライザの至適設計
渡貫 幹彦峰島 三千男阿岸 鉄三太田 和夫増田 利明福井 清酒井 清孝
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1993 年 22 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

新しい人工腎臓治療システムとして、連続的再循環腹膜透析(Continuous recirculating peritoneal dialysis; CRPD)を考案した。CRPDでは患者の腹腔内に貯液した透析液を一部再循環させ外付けのダイアライザにより連続的に浄化することから、その治療効果は外付けのダイアライザの性能に大きく依存する。本報では血液透析(HD)とは異なり、血液側に腹膜透析液が、透析液側にHD用透析液が流れるという条件を考慮してCRPD用ダイアライザの設計を行った。目標の尿素クリアランスを膜抵抗のみが存在すると仮定した場合の97.0ml/minの95%、92.2ml/minとし、中空糸内圧力損失を50mmHgとすると中空糸内径を87μmとすることにより小型、高効率なダイアライザの設計が可能であることが分かった。さらに、このダイアライザを用い1日8時間CRPD治療を施行するとして、その治療効果をcompartment modelを用い推算した。患者の体内尿素窒素濃度(BUN)の週間平均濃度(TAC)は32.2mg/dlとなり、12hr/weekのHDの45.3mg/dlに比較して低値を示した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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