日本胸部疾患学会雑誌
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Cushing 症候群および尿崩症を合併した肺小細胞癌の1例
田端 雅弘大熨 泰亮上岡 博木浦 勝行畝川 芳彦柴山 卓夫前田 忠士宮武 和代瀧川 奈義夫木村 郁郎
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1993 年 31 巻 2 号 p. 235-239

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抄録

症例は62歳の男性. 糖尿病, 高血圧にて入院. 胸部X線にて左肺の異常影を指摘され, 気管支鏡検査にて肺小細胞癌と診断された. 入院時検査にて血中ACTH (623.5pg/ml), 尿中17-OHCS (18.01mg/day) の高値, 低カリウム血症, アルカローシス, 高血圧, 高血糖, 肥満を認めACTH産生肺癌による Cushing 症候群が疑われた. また入院時より著明な多飲多尿を認めるも, 尿比重は1.007~1.010と低く, 血漿浸透圧は291mOsm/kgと正常で, 尿浸透圧は170mOsm/kgと低下しており, 水分制限試験の結果とあわせ尿崩症と診断された. 尿崩症および左眼の視野狭窄の合併より, 下垂体近傍への転移が疑われたがCT, MRIではこれを証明し得ず, 剖検にて視床下部, 下垂体への多発性転移が確認された. ACTH産生肺癌による Cushing 症候群と下垂体転移による尿崩症の合併は極めて稀と思われるので報告した.

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