人工臓器
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リピドヘムーマイクロスフェア(人工赤血球)の物性と酸素輸送
小松 晃之荒井 健次川合 宣行西出 宏之土田 英俊柿崎 徹小林 紘一
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1993 年 22 巻 2 号 p. 550-553

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抄録

脂肪小球をリピドヘムで被覆したリピドヘムーマイクロスフェア(全合成系人工赤血球)の物理化学的特徴と生理条件(pH 7.4、37℃)における酸素輸送について報告する。リピドヘムーマイクロスフェアは均一分散の赤色溶液として得られる。電顕観察から球状形態を確認、粒径は30~200nmφに調節できる。系の粘性は低く(粘度:1.2cP)、比重:1.001、コロイド浸透圧は調整可能である。しかも酸素分圧に対応して速やかに酸素を吸脱着でき、P1/2(O2):41 torrを示す。高濃度懸濁液は相当量の酸素溶解量を示し、条件によりヒト血液を遥かに上回る。出血性ショック状態の犬(体重8kg)に、この人工赤血球溶液を静脈内投与し、血流中での滞留時間を観測(半減期:12時間)、この系が十分に体内で酸素輸送機能を果たすことを確認した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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