日本歯周病学会会誌
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歯周病患者におけるHLA-DQB1遺伝子変異の検索
大山 秀樹高柴 正悟宮本 学高橋 慶壮河野 隆幸永井 淳栗原 英見村山 洋二
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1993 年 35 巻 3 号 p. 536-542

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抄録

ある早期発症型歯周炎患者では, HLA-DQB1遺伝子の第3エクソン部近傍に変異が存在することが報告されている。本研究は, この遺伝子変異が健常者および歯周病患者のなかでどの様に分布しているかを調べたものである。健常者40名および歯周病患者40名 (早期発症型歯周炎患者20名, 成人性歯周炎患者20名) を被験者とした。DQB1の第3エクソン部を含む1kbの領域について, PCR-RFLP解析法によって変異の有無を調べた。全被験者のうち14% (11/80) に, DQB1遺伝子変異を検出した。変異のある者11名のうち73% (8/11) が歯周病患者であり, そのうちの88% (7/8) が早期発症型歯周炎患者であった。遺伝子変異の病型ごとの検出頻度は早期発症型歯周炎患者で, 成人性歯周炎患者および健常者より有意に高かった。遺伝子変異を有する健常者はすべて変異を有する早期発症型歯周炎患者の血縁者であった。以上の結果より, この遺伝子の変異は早期発症型歯周炎を遺伝的に規定している可能性がある。

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