1993 年 33 巻 6 号 p. 879-886
肺小細胞癌112例を対象にCOMP (cyclophosphamide, vincristine, methotrexate, procarbazine)-VAN (etoposide, adriamycin, nimustine) 交替療法を行った. またlimited disease (LD) 症例には40Gyの胸部照射, 完全寛解 (CR) 例には40Gyの予防的脳照射 (PCI) の有用性に関する無作為化比較試験を並行して実施した. CR率はLD56%, extensivedisease (ED) 32%であり, 全奏効率はいずれも89%であった. 生存期間中央値はLD14.5カ月, ED11.1カ月で, 3年, 5年, 10年の生存率はそれぞれLDでは17.9%, 14.3%, 9.4%, EDでは3.6%, 0%, 0%であった. 胸部照射, PCIはいずれも照射局所の再発を有意に抑制したが, 生存期間の有意の延長効果は認められなかった. 胸部照射による副作用として29%の症例に放射性肺臓炎が出現し, そのうち2例が死亡したが, その他の毒性は一般に軽微であり, 重篤な合併症は経験されなかった.