人工臓器
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液-液系膜型肺の酸素移動量を増加させる試み
原本 浩隆小久保 謙一酒井 清孝
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1994 年 23 巻 1 号 p. 238-242

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抄録

液-液系の人工肺は気泡混入の危険性がほとんどなく、気体との直接接触による血液破損がない。したがって酸素移動量が増加すれば、安全性の高い、高性能な人工肺が得られる可能性がある。そこで、液-液系膜型肺において酸素ガスの代わりにガスキャリア液として水、ストローマフリーヘモグロビン(SFH)、パーフルオロオクチルブロマイド(PFOB)を流し、酸素移動量の増加を試みた。静脈血には水およびウシ血液を使用し、酸素移動速度を測定した。人工肺にはCuprophan®膜からなる中空糸型透析器(S・SP-1.5H:泉工医科工業(株))を用いた。その結果、ガスキャリア液としてPFOBを用い、それを中空糸内側に、血液を中空糸外側に流した場合、実用に十分な酸素移動量が得られることがわかった。また、疎水性であるPFOBは、親水性の中空糸膜を使用しているため、血液側への漏出は見られなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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