人工臓器
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人工赤血球(リピドヘム-マイクロスフェア)の体内酸素輸送
小松 晃之村松 靖子西出 宏之土田 英俊柿崎 徹小林 紘一
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1994 年 23 巻 3 号 p. 849-853

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抄録

全合成系人工赤血球(リピドヘム-マイクロスフェア(LH-M))の体内酸素輸送能について報告する。リピドヘム-マイクロスフェアの酸素親和性は赤血球(ヒト血液)よりやや低く(P1/2(02):約40Torr、37℃)、酸素結合解離速度定数はヘモグロビンのそれよりも大きい。リピドヘム-マイクロスフェア分散液の酸素溶解量を実測した。処方により高濃度に酸素を溶解した輸液の調製が可能である。出血性ショック犬(体重8kg)に、この人工赤血球溶液を静脈内投与した。血流中における各成分の滞留時間を観測、リピドヘムからの酸素消費量(全酸素消費量の15%)を定量した。本物質が生体内における有効な酸素運搬体として機能することを明かにした。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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