日本大腸肛門病学会雑誌
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穿刺吸引細胞診にて診断しえた直腸原発悪性リンパ腫の1例
木山 輝郎江上 格谷口 善郎和田 雅世吉岡 正智下村 隆保恩田 昌彦
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1994 年 47 巻 7 号 p. 609-614

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抄録

直腸原発悪性リンパ腫は比較的希な疾患であり,診断に難渋することが少なくない.今回,穿刺吸引細胞診にて術前診断しえた症例を経験したので報告する.患者:32歳,男性.1992年12月頃から排便障害,粘血便が出現.近医にて直腸腫瘍と診断されたが,生検ではGroup2であった.1993年3月人工肛門造設.7月当院に転院.入院時,表在リンパ節を触知せず.直腸指診にて肛門・直腸の全周性狭窄を認めたが,示指の挿入が可能で弾性硬であった.経肛門的に穿刺吸引細胞診を行った.中細胞型異型リンパ球が優位で,class III b(悪性リンパ腫)と診断された.7月14日腹会陰式直腸切断術施行.非Hodgkinリンパ腫:びまん性中細胞型,B細胞型,a2 n(-) P0 H0 M(-), stage IIであった.経過良好でVEPA療法を1クール行い,9月9日軽快退院となった.1994年4月1日現在,再発の兆候なく外来にて経過観察中である.

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