口腔衛生学会雑誌
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フッ化物洗口学童の第1大臼歯に対する合理的なシーラント応用について
葭原 明弘小林 清吾佐久間 汐子安藤 雄一峯田 和彦堀井 欣一瀧口 徹
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1994 年 44 巻 3 号 p. 260-266

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抄録

フッ化物洗口法と小窩裂溝填塞法 (シーラント) との複合応用において, シーラントの適応歯を4指標 (う蝕診断基準: CO, 咬合指数, 咬合面歯垢指数, 学年) を用いてスクリーニングし, シーラントを応用するプログラムの合理性を評価した。
対象者は, 施設単位で4歳から標準的なフッ化物洗口法を行っている隣接した2村の2小学校の1~3年生計640名である。これら学童の第1大臼歯を対象に, 第1段階としてCO歯をスクリーニングし, 第2段階としてその他の上記3指標を用いて, ハイリスクCOとローリスクCOに分類した。一方の小学校児童では, ハイリスクCOにシーラントを応用し, ローリスクCOは6カ月間の経過観察とし, 他方の小学校児童では, ハイリスクCOもローリスクCOとともに6カ月間の経過観察とし, それぞれの歯面における6カ月後のう蝕進行状況を比較し相対危険度を求めた。結果は, CO歯面の健全歯面に対する相対危険度は18.8, ハイリスクCO歯面のローリスクCO歯面に対する相対危険度は1.9であった。また, シーラントの保持率は93.1%であり脱落歯面からのう蝕発生は見られなかった。
健全歯面からのう蝕罹患リスクが非常に低いことから, 全ての小窩裂溝をシーラントの対象とせず, 適応歯をスクリーニングする方法は合理的である。適応歯としてCO歯を, さらにはハイリスクCO歯をスクリーニングすることは, 費用軽減の上からも有用であると考える。

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