1995 年 69 巻 8 号 p. 919-923
990年から1994年までの岡山大学付属病院で分離された腸球菌属の検討を行ない, 以下の知見を得た.
(1) 腸球菌属の分離頻度は各年を通して全体の6%前後であった.
(2) 腸球菌属の中でEnterococcus faecalis (E. faecalis) の占める割合は減少していたが, Enterococcus faecium (E. faeciurn), Enterococcus avium (E. avium) は増加していた.
(3) 薬剤感受性率の検討では, E. faecalis, E. aviumでofloxacin (OFLX) に対する耐性化傾向が認められた. E. faecalisでは第一選択薬であるampicillin (ABPC) で耐性化傾向が認められた.
(4) 少数ながらvancomycin (VCM) 非感受性腸球菌属が検出された.VCM非感受性株はABPC, imipenem (IPM), gentamicin (GM), OFLXにも低感受性を示す場合が多く多剤耐性の傾向が認められた.
(5) 腸球菌属から100株を選びニトロセフィン法, ヨード・デンプン法によりβ-lactamase産生能の有無を検討したが全て非産生株であった.