日本小児腎臓病学会雑誌
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—総説—
尿路感染症の乳児の排尿時エコー検査によるVURの診断
平岡 政弘橋本 剛太郎林 修平堀 親秀土田 晋也塚原 宏一須藤 正克
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1995 年 8 巻 2 号 p. 191-193

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抄録

 有意なVURの診断におけるエコー検査の有用性をprospectiveに検討した。初めて尿路感染症を発症した乳児27人 (男24人,女3人) を対象とした。エコー検査により,腎盂のballooningを4人の5腎で,尿管遠位部の4mm以上の拡張を10人の13尿管で,水腎水尿管症を2人の2腎で認めた。これらの所見を認めた10人にVCGを行い,6人の8腎にVURを認めた (IV度3腎,III度2腎,II度3腎)。ballooningを認めた5腎ではいずれもIII度以上のVURを認めた。II度の3腎のうち,2腎では尿管の拡張のみを認め,1腎では全く異常を認めなかった。VCGを行わなかった17人のうち,3人は排尿時のエコーによる観察ができず,尿路感染症が再発したのはこのうちの1人だけであり,再度のエコー検査によりballooningを,VCGによりVURを認めた。尿路感染症を発症した乳児のVURの一次診断として排尿時のエコー検査は極めて有用であった。

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© 1995 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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