1996 年 85 巻 1 号 p. 129-134
後天性免疫不全症候群(AIDS)の流行に伴ない,合併する結核感染の増加が問題となっている.進行が速いばかりでなく,治療後も日和見感染の頻度が増加し,予後を悪化させることが指摘されている.また,肺外結核が多く,症状が非特異的で, X線像も非定型的であるため,見逃がされやすい.喀痰からの菌の検出率が低く,ツベルクリン反応もエイズの進行とともに陰性化するという問題がある.治療は,感受性菌であれば通常の化学療法によく反応するが,耐性菌の合併も増加しているので注意を要する.ハイリスクグループにはINHによる予防が勧められている.