日本歯周病学会会誌
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Dental Compression Syndromeに関する臨床的研究
鈴木 丈一郎
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1996 年 38 巻 1 号 p. 32-47

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抄録

1991年にMcCoyがDental Compression Syndrome (D. C. S.) という概念を発表した。今回その臨床症状を比較検討するために, 特に歯周病と歯に現れる一般的な症状の2点に着目し, 鶴見大学歯学部付属病院保存科来院患者の中からD. C. S. 群, 医局員の中からControl群を10名ずつ選び被験者とした。臨床パラメーターとして, 動揺度, 唇頬側と舌口蓋側のアタッチメントレベル (B-PAL & L-PAL), 咬合接触面積および咬合力を用いた。また, D. C. S. 群のくさび状欠損の出現部位についても調べた。以上より下記の結果を得た。1) 動揺度については両群問に有意差は認められなかった。2) B-PALについては, 両群間に有意差 (p<0.01) が認められた。L-PALについては, 前歯部および大臼歯部において両群間に有意差 (P<0.05) が認められた。3) 咬合接触面積および咬合力については, 両群間に有意差 (p<0.05) が認められた。4) D. C. S. -W群において動揺度とL-PAL間, 咬合接触面積と咬合力間, 咬合接触面積とL-PAL間, B-PALとL-PAL間に相関関係 (P< 0.01) が認められた。5) D. C. S. 群におけるくさび状欠損の出現部位は上下顎第1小臼歯部においては100%認められた。以上のことより, D. C. S. 群においては, B-PAL, L-PAL (前歯部, 大臼歯部), 咬合接触面積および咬合力がControl群に比べ有意に大きいことが示唆された。

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