乳歯における歯面部位別のフッ素濃度分布と,性差,加齢的変化を調べるために,5歳児および6歳児の交換期で抜去された下顎乳中切歯を対象に,エナメル質表層のフッ素濃度を測定し,以下の結論を得た。
1)5歳児,6歳児共に,唇側面と舌側面における部位の差は,いずれの深さにおいても男児,女児共に統計学的有意差が認められなかった。
2)性差は,5歳児では,唇,舌側面共にいずれの深さにおいても統計学的有意差が認められなかった。一方,6歳児では,唇側面では,統計学的有意差は認められなかったが,舌側面では,深さ10.0~30.0μmにおいて,男児の方が女児よりもフッ素濃度が有意に高かった。
3)5歳児と6歳児の比較では,女児の唇側面における深さ1.0μmでの結果を除き,唇,舌側面共に6歳児の方がフッ素濃度が有意に高かった。