小児歯科学雑誌
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本学小児歯科外来患者の実態調査(第5報)
心身障害児の実態調査(平成元年~平成6年)
荻野 由美柳原 正恵梅澤 理絵子鎌田 未幾土岐 裕子佐藤 昌史山下 登井上 美津子佐々 竜二
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1996 年 34 巻 1 号 p. 193-200

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抄録

昭和大学歯科病院小児歯科では,開設以来,健常児とともに心身障害児に対しても口腔の健康管理を主体に歯科治療を行ってきた。
今回,平成元年から6年までの5年間に来院した心身障害児について,その実態調査を行った。
来院数は1,015名で,総来院患児数の24.6%であった。障害別の内訳では,唇顎口蓋裂児が596名で最も多く,次いで運動・知能障害児が251名,内科的疾患児が106名,アレルギー・呼吸器疾患児が62名であった。
初診時の年齢は0歳から28歳までで,1歳児と2歳児が大半を占めていた。
来院動機については,齲蝕が23.4%,歯列・咬合の異常が18.7%,予防・検診が27.3%,他科・他院からの紹介が26.6%であり,以前の報告と比較すると齲蝕が主訴の者が減少していた。
当科診療システムにのった者は763名で,その診療形態をみると,診査・指導のみの者が70.4%,外来治療が23.6%,全身麻酔下治療が6.0%であり,全身麻酔下治療の適応は年々減少していた。
修復処置内容は,乳歯,永久歯ともレジン充填が多く,インレー修復は減少し,アマルガム充填はまったくみられなかった。
定期診査の受診率は,いずれの障害児でも80~90%とかなり高率であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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