1996 年 25 巻 3 号 p. 658-663
高透水性透析膜の多くは非対称構造を有している。しかし、現在、膜の非対称構造を評価する指標はなく、溶質ごとに透過実験をしなければ非対称膜の溶質透過性能は評価できない。そこで、非対称構造を有するポリスルホン透析膜(PS-400膜、PS-UW膜、APS膜)を対象として、SEM観察、染色速度比較法、BET法およびDSC法をそれぞれ適用した。そして、膜の非対称構造の評価への適用限界を明らかにするとともに、膜構造の評価を試みた。SEM観察、BET法、DSC法では、膜の透過性の違いの原因となる構造の違いは見られなかった。染色速度比較法では、他の方法と異なり膜により結果に違いが現れた。今回用いた膜のように緻密層と支持層の構造が大きく異なる非対称膜の場合、BET法では支持層の大きい細孔を評価できないが、DSC法では評価できる。また、今回用いた膜はそれぞれ、支持層の非対称構造にあまり違いはないが、緻密層の構造が大きく異なると考えられる。